Omiai個人情報漏洩インシデントの概要
不正アクセスを受けたのはOmiaiの会員情報を管理するサーバであり、2021年4月28日15時頃、同サーバにおいて意図されていない挙動が観測されたため、社内点検を行なった結果、年齢確認書類の画像データに対する不正アクセスの痕跡を発見。 また、その後の通信ログ解析により、年齢確認書類の画像データが4月20日~4月26日の間、数回にわたって外部に流出した可能性が高いことが判明したとのことです。 同社によれば、年齢確認書類は運転免許証、健康保険証、パスポート、マイナンバーカード(表面)等であり、恋活・婚活マッチングアプリというサービスの性質上からも、重要性の高い個人情報漏洩インシデントについて、多くのメディアから報道される結果となりました。なぜ重要個人情報を保存したのか?管理方法への疑問
本件に関して疑問に思うのは、下記の2点です。- なぜ会員の年齢確認の審査に用いる書類(画像データ)が外部からアクセス可能な場所に保存され続けているのか
- 年齢確認の審査の終了後、早期に削除するようなワークフローになっているべきではないか
国外におけるマッチングサービスの類似インシデント事例
類似といっても、あくまで「マッチングアプリ/マッチングサービス」という観点での話であり、Omiaiのような「恋活・婚活」とは全く性質が異なるものである、との前提をご理解ください。 私たちのようなセキュリティ事業に携わる者が、今回の事案から想起される過去のインシデント事例としては、2015年に起きた「アシュレイ・マディソン(Ashley Madison)」における、大規模な会員情報の流出事件があります。 アシュレイ・マディソンは「人生一度。不倫をしましょう。(英語: Life is short. Have an affair.)」をスローガンにする、2001年に解説された既婚者向けの出会い系サイト(運営元の本社はカナダ)です。 2015年にImpact Teamと呼ばれるハッキンググループによるハッキング被害により、40カ国3,700万人分の会員情報が盗まれ、さらには非常にセンシティブな情報を含む会員情報やクレジットカード情報、Webサイトのソースコード等、Impact Teamに窃取された10GBものデータがダークウェブ上で公開されてしまいました。 当該データは、今もなおダークウェブ上のマーケットや、ディープウェブ上のフォーラムで共有されていることを確認しています。重要個人情報流出にともなう二次被害の可能性
被害者の立場で考えてみれば、一度外部に流出したデータが取り戻せず、ネット上に残り続けることに対しては、非常に大きな不安と懸念があるはずです。今回のOmiaiのインシデントについても、サービスとしての性質はそれこそ大きく異なりますが、事業者側に求められる責任は大きいです。 流出した運転免許証や健康保険証、パスポートなどの画像データがアシュレイ・マディソンの事案と同様にダークウェブ/ディープウェブ上で今後共有され、悪用されるなどの二次被害が発生する可能性が考えられます。 被害者である会員に対して、事業者側がどのような補償を提供していくのか、今後注目していきたいところです。会員情報を取り扱うウェブサイトのセキュリティ対策として、何をすべきか?

まとめ
情報漏洩が発生した場合、顧客から損害賠償を請求されるほか、営業機会の損失や社会的信用の低下などにより企業の利益低下も懸念されます。被害規模の大きい不正アクセスによる情報漏洩件数が増加していることから、ウェブサイトからの情報漏洩の発生はどのような企業にとっても他人事ではありません。 弊社の「P-SS 情報セキュリティ評価サービス」では、現状のセキュリティ対策を「人的」「組織的」「技術的」「物理的」といった複数の観点から評価し、本来あるべき姿とのギャップを特定します。会員情報を取り扱うウェブサイトにおいてもどこに弱点があるか、攻撃を受けやすい脆弱性があるかを可視化、必要な対策の優先順位をつけることを可能にします。 ⇒「P-SS 情報セキュリティ評価サービス」|PNC株式会社P-SS 情報セキュリティ評価サービス | PNC株式会社
出典
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- 注1:「不正アクセスによる会員様情報流出に関するお詫びとお知らせ」株式会社ネットマーケティング,2021年05月21日(最終アクセス日:2021年5月28日)
https://www.net-marketing.co.jp/news/5873/
- 注2:「安全なウェブサイトの運用管理に向けての20ヶ条 ~セキュリティ対策のチェックポイント~」IPA(情報処理推進機構), 2019年03月06日(最終アクセス日:2021年5月28日)
- 注1:「不正アクセスによる会員様情報流出に関するお詫びとお知らせ」株式会社ネットマーケティング,2021年05月21日(最終アクセス日:2021年5月28日)

安全なウェブサイトの運用管理に向けての20ヶ条 〜セキュリティ対策のチェックポイント〜 | 情報セキュリティ | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
情報処理推進機構(IPA)の「安全なウェブサイトの運用管理に向けての20ヶ条 〜セキュリティ対策のチェックポイント〜」に関する情報です。